宝塚の家(兵庫県)


 この家は、道路からも奥まり、ご両親が住む母屋の南にぽっかりと空いた場所に、かろうじての接道を保ちつつ、且つ4台分の駐車スペースを前面に確保し、母屋と向き合うように敷地の残った形状なりに可能な限りに建っている。
 結果的には周辺が建て込んだ状況にその身を置くことになり、ここでは家族3名と2匹の猫が主に過ごす家族室を1階の中心に配置し、その真ん中を吹抜けを介した空洞としながら、2階の各室をこの吹抜けを回遊できるように配している。
 つまりはこの家族室を一つの中庭的な空間と見立て、隣家との視線を回避しながらも光と風をこの中心に呼び込み、そして各々の居室をその中心へと開くことで、内なる開放感を見出そうと試みている。
 それぞれ自立した家族が、お互いの距離感を確かめ合いながらその絆を改めて深め合えるような、一つのクサビと成り得るような、そんな建築であり続けることを願って・・・


photo:yutaka kinumaki
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