五軒邸の家(兵庫県)


 もともと団地の床を畳に替え、そして季節の移ろいに併せて、家具を動かし、時には涼を求め、時には暖を求め、まるで住空間を漂う移民のように、工夫され生活されてきた住み手家族である。
 近くにお気に入りの戸建てを入手されて、家族が集う室を中心に、水周りと、もっとも陽光が降り注ぐ下屋をルーフデッキへと改修された。
 仕事上、本物の素材感を求められ、もとの風格のある建具などは、そのまま利用し、2階の広間を除いて、廊下や諸室は畳の座床となっている。
 子供の成長と、素材の移り変わりを楽しみにしながら、再びこれから季節の移ろいに併せて、ここに住む家族は移民のように漂い続けるだろう。




photo:yutaka kinumaki
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